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事業用太陽光発電施設等に対する地方自治体の条例等の制改訂状況の調査報告

FIT(固定価格買取制度)の導入以降、爆発的な太陽光発電設備の普及にともない、建築基準法、都市計画法や景観条例の適用を受けることのない小中規模の野立ての太陽光発電施設については、景観等の阻害、太陽光パネルによる反射光、パワーコンディショナ等付帯設備からの騒音、雑草防止を目的に敷設したコンクリートを要因とした周囲温度の上昇や雨水の敷地外への大量流出、土地の形質変更にともなう防災機能の低下、設置計画地の周辺住民への説明不足等、さまざまな問題が生じている。

昨今ではFIT 価格の下落により、当初よりもその勢いは減速したものの、太陽電池パネル等の機器の高機能化・低価格化により、いまもなお至る所で太陽光発電施設の建設は行われている。

こうした状況に対して、全国各地の自治体では、独自の条例の制定や既存条例の改定を検討するケースが増えている。

太陽光発電の健全な普及のためには、実態の把握と情報共有の必要性があることから、今回、全国の自治体に対して事業用太陽光発電施設に関わる条例等の制定状況の調査協力依頼を行い、回答があった分の内容および独自調査分を集約した結果をここに報告する。

NPO法人太陽光発電所ネットワーク
調査研究室 主任研究員 吉田 幸二

自宅
〒480-0305 愛知県春日井市坂下町5-313-4
E-Mail : jcb01351@nifty.com
http://curator358.com/

2013年7月20日発行「自治体の屋根貸し太陽光発電事業レポート」

2014年5月6日発行「太陽光発電の普及・促進の影で」レポート

太陽光発電、グリーン電力に関する問い合わせ先

NPO法人 太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)
〒113-0034東京都文京区湯島1-9-10湯島ビル602
TEL:03-5805-3577  FAX:03-5805-3588
E-mail:info@greenenergy.jp(事務局)
URL:http://www.greenenergy.jp/

「太陽光発電の普及・促進の影で」レポート

太陽光発電に係るさまざまな諸問題への提案書
「太陽光発電の普及・促進の影で」を作成・公開しました

NPO法人太陽光発電所ネットワーク(略称PV-Net、代表理事:藤井石根/都筑建、本部:東京都文京区)は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度などの普及促進政策により、導入量を増やしている太陽光発電について、その増加に伴い起きている課題やトラブル、解決策をまとめたレポート「太陽光発電の普及・促進の影で」を作成しました。
本レポートは、PV-Net調査研究室の吉田幸二主任研究員宅で起きた電圧上昇抑制の事例報告をベースに、太陽光発電システム(住宅用・産業用)における電圧上昇抑制の問題点や、自然環境・住環境への影響に対する解決策を、技術面と制度面から分析・提案しています。今回まとめたレポート内容については、国や電力会社、認証機関等へ提言・要望するなどの活動を行っていきます。

電圧上昇抑制とは
電圧上昇抑制とは読んで字のごとく、「電圧」の「上昇」を「抑制」することです。電気は水の流れと同じように、高い方から低い方へと流れる性質があり、太陽光発電などで作られた電気が電力会社の系統に流れていくためには、系統よりも高い電圧でなければなりません。そこでパワーコンディショナー(パワコン)が、電力会社の系統の電圧を検知して、それよりも高い電圧で出力しています。ところが、パワコンの出力電圧は、電気事業法によって107Vを原則超えることはできません。そのため系統の電圧が107Vに限りなく近い場合は、パワコンの出力電圧が高くなるのを抑制する機能が働きます。その結果、発電した電気が流れていかない状態、つまり電気が売れない状態となります。これが電圧上昇抑制です。また、パワコンの出力電圧の上限値を整定値といい、パワコンメーカーの出荷時の設定は107Vが一般的です。

本レポートによる、電圧上昇抑制解決のための主な提案は
以下のとおりです

住宅用太陽光発電システムの場合
(電力会社からの供給電圧の制度改正)
電力会社の供給する電力品質を定めた法律に「電気事業法二十六条」があり、施工規則第四十四条のなかに、「標準電圧100ボルトの場合、101ボルトの上下6ボルトを超えない値が維持すべき値」とありますが、上限の107ボルトでは、実質、家庭用太陽光発電システムからの逆潮流による売電はできません。その場合には上限を101ボルトの上3ボルトなどに低く制限する。または、高圧幹線の電圧が高くなっても低圧側を一定範囲に制御できる自動電圧調整型柱上変圧器を標準使用として、電圧上昇抑制により太陽光発電システムの発電能力が抑制されないような法や規則等の改定、標準化を提案します。

(系統連系保護装置認証基準の改定)
パワコンのなかには電圧上昇抑制の発生時にしかエラー表示されないモデルや一定時間継続しないとエラーとして表示されないモデルもあり、電圧上昇抑制に気付かなければ不利益な状態となります。パワコンメーカーには、電圧上昇抑制の発生がコンソールや表示器に表示するとともにパワコン内に記録され、ユーザーが発生状況の確認ができる仕様となるよう、JET(一般財団法人電気安全環境研究所)の定める系統連系保護装置認証基準の改定を提案します。

(電圧上昇抑制の早期発見と解決策)
電圧上昇抑制の発生は、「1.パワコンの表示器(コンソール)を観察、またはエラーの履歴を確認する」「2.その地域の毎月の日射量などをもとに計算した推定発電量と実際の発電量を比較する」などを行わないと確認ができません。そのため、すべての住宅用太陽光発電システムの設置者に対して、電圧上昇抑制と整定値に関する情報公開と注意喚起が必要です。
また、高圧幹線の電圧に影響される電圧上昇抑制の発生は、太陽光発電設置世帯の売電電力量に格差を生むことから、電力会社には速やかな改善を求めます。さらには、電力会社はパワコンメーカーなどと協力して電圧上昇抑制の実態把握を行い、太陽光発電システムから発電された電力が最大限有効に活用されるよう適正な整定値への変更や幹線側の改善に努める必要があるでしょう。ただし、安易に整定値を上げることは、パワコンから屋内の家電に対して高い電圧を供給することになり、別の障害を引き起こす可能性があるので留意が必要です。

産業用太陽光発電システムの場合
(電力会社側の幹線接続要件に)
大規模太陽光発電設備においては、電力会社の送電網に接続できる容量等に上限が設けられていますが、産業用太陽光発電施設から送電される電力の電圧変動が同じ幹線に接続されている住宅用太陽光発電システムに対して、電圧上昇抑制が起きる可能性があることから、これについても産業用太陽光発電建設の判断基準に盛り込むことを提案します。仮に産業用太陽光発電施設が接続される場合には、同じ幹線に接続されている周辺の住宅用太陽光発電システムの所有者に対して、電圧上昇抑制の注意喚起の周知を行う必要があります。こうした対応は、系統情報の詳細や個人情報であって、現在のところ電力会社にしか行うことができません。さらには、実際に同じ幹線に接続されている住宅用太陽光発電システムに電圧上昇抑制という形で影響が出た場合は、改善するための改修費用を事業者に対して請求できるようにすることが望まれます。

プレスリリース(PDF 316KB)…2018年3月3日現在リンク切れ
レポート「太陽光発電の普及・促進の影で」(PDF 15038KB)

レポート「太陽光発電の普及・促進の影で」(PDF 15038KB)

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