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「デジタルからくり改善」について

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主に生産部門のからくり改善と並ぶ事務・間接部門で取り組めるデジタルからくり※1改善を紹介します。

「デジタルからくり改善」とは

 業務(物事)に紐づく情報(IoT)※2情報伝達技術(ICT※3)を活用し、主にPC作業で行われているキー入力やコピー&ペースト等の作業をデジタル的に自動又は半自動で行う仕掛けや仕組みを含む「からくり」での改善を行い、生産性※4を向上して収益改善に繋がる取り組みとする。

(主な対象は事務・間接部門における主にPCを使って処理する定常・定例等の業務(物事)として、 上記の様に定義しました)

単独パターンBefor-After    チームパターン1Befor-After    チームパターン2(属人化解消)Befor-After

「デジタルからくり改善」の基本的な考え方・進め方について
部分最適※5に陥らぬように全体最適※5の見地で下記の確認を行い、作業・帳票やデータの見直し・標準化を行う

  • 該当業務の位置づけ
  • 後工程(上司、主管や他部署)が本当に求めているもの
  • 良かれと思ってやっているムダ・余分なことはないか
  • 他部や他社のやり方・動向
  • あるべき姿
  • 何処で何をすればベストか
  • 業務フロー

②それらを行った上で、IT端末やPC(プログラム含む)等を用い従来は主に手作業で行っていた作業について、標準化等した内容に基づいてデジタル的に自動又は半自動で行うことで下記を実現する。

  • 入力ミス等の人為的ミス削減による作業品質の向上
  • 作業・管理工数の削減
  • 属人化※6の解消(担当者のスキルに影響されない)
  • 上流で簡便に実施できる仕組みを作ることで下流の業務を削減

③これらにより、単なる現状作業の自動化ではなく合理化も進め、品質向上や時間短縮や下記により生産性の向上を目指す。

  • 標準化等によって付加価値のある業務にする
  • 時間短縮によって生み出された時間に付加価値のある業務を行う(改善、革新、専門的知識習得等)

事務・間接部門における「デジタルからくり改善」に使うツール等

 組織から配布されているPCで使用できるOracle DB・SQL DBやAccessのデータ・クエリ・SQL・マクロ、Excelのデータ・VLookup関数・入力規則・条件付き書式・フォーム・マクロ、Webページ、VBScript、DOSコマンド、Windows Script Host、アプリケーションの操作やデータを扱えるWindowsマクロ(UWSC)※7等の無償版、組織にライセンスがあるVisual Basic Pro(簡易アプリ作成)など、バーコードリーダー(USB接続)、レシート・ラベルプリンタなどのIT端末を組合わせて使います。

「デジタルからくり改善」による改善による生産性の向上をさらに推進するには、下記も必要です。

  • 業務の共通言語化※8[Excel等帳票様式の統一、採番ルールの統一、ファイル名/シート名の命名ルールの統一、勘コツや属人化を解消するための標準化]
  • 事例の共有・横展等に必要なナレッジマネジメント※9
  • 情報の一元化
  • 情報の一意性※10の確保
  • 情報の公開
  • 情報の共有化
  • 管理職を含む全職員の業務全般の知見(専門的知識、他部や社外でのやり方・動向)やICTスキルの底上げ

又、業務の棚卸等での実態把握※11を行い、組織全体で取り組むことで生産性向上⇒収益改善に繋がると思います。

以上、「デジタルからくり改善」のご紹介でした。

By 吉田 幸二 2017年12月25日

注釈

※1:デジタルからくりについて記述のある資料

P28:デジタルからくりは従来、紙を媒体としたものを、低価格な情報機器や電子デバイスを使用して便利な道具に仕上げることから命名

P30:「ローコスト(Low cost)」「フレキシブル(flexible)」「ハイテク(high technology)」がキーワードのデジタルからくりを利用することで、人に優しい現場管理が実現するのです。

P31:現場管理に必要な「明示」「指示」「収集」の取り回しの準備が楽になり、外段取り作業のポカヨケにつながる

又、「投入した資源」や「インプット」には時間×コスト(職能等級別労務費等)を用いる、時系列でみることも生産性の評価に有効である

※2:改善には該当業務(物事)の情報だけでなく、企業や団体の組織全体の業務の流れの中での該当業務の位置付けや関連等も考慮する必要があり、Thingsとは有形な機械装置、製品、書類等だけでなく、無形なこと、事(柄)、仕事や行為なども含まれるので、IoTは巷で良く聞くInternet of ThingsではなくInformation of Thingsとし、書籍F等の資料により「Information of Things」の直訳である「物事の情報」ではなく「業務(物事)に紐づく情報」という表現とした。

P3:「様々なモノをインターネットに接続する技術」が価値を生むわけではなく、さまざまなモノや人などからのデータを得て処理をし、現実社会へのフィードバックする」一連の活動の成果が価値を生む。

  • Information of Thingsに関する海外Webサイトの記事

Understanding the “Information of Things”

The Information of Things: Why Big Data Will Drive the Value in the Internet of Things

※3:ICT[Information and Communication Technology]とIT[Information Technology]はほぼ同義。

日本では「IT」がよく使われるが、国際的には「ICT」を用いるのが一般的とも言われている。

※4:生産性についての詳細は下記書籍等参照

P31:生産性の定義  生産性=得られた成果/投入した資源=アウトプット/インプット

※5:部分最適と全体最適についての詳細は下記書籍等参照

  • 書籍C:より転載

P186:自工程完結がもたらす10のメリット メリット1.部分最適が無くなる

P22:本書では「部分最適」という言葉を「会社の方針、人、組織、仕組み、システムなどあらゆる経営資源が限られた範囲や部分では最適であるが、会社全体として見れば何ら貢献せず不適切である、もしくは悪い影響を及ぼすこと」と定義します。

P226-227:ソフトウェアでも生産でも一緒だ。すご腕の人は、部分の効率ことばかり考えているのではなく、全体の流れを見ているのだ。

※6:属人化についての詳細は下記書籍等参照

  • 書籍B: より転載

P155:「自分の仕事を伝達可能な形に要素分解し、他の人にもできるようにすることで、組織の生産性を高めるという貢献ができていない人」ともいえ、 ・・・(中略)・・・ 一子相伝の職人の世界とは異なり、そういった仕事やスキルの抱え込みは、組織の生産性より自己保身や職場における自身の心地よさを優先する身勝手な働き方であり、高く評価されるべき働き方ではないのです。

  • 書籍D:より転載

P185:属人化には[良い属人化]と[悪い属人化]があります。

・良い属人化 その人がゆえの付加価値が出せている状態(例:よりスピードが速い、より多くの役立つ情報を提供してくれる、仕上がりがよりキレイ)

・悪い属人化 その人がいないと、そのチームが最低限しなければならない業務が回らなくなる状態

  • 書籍E:より転載

P15 :実際、日本のスタッフ部門には、暗黙知がたくさんあります。「あの人にしかできない」が価値になっている。いや、価値にしようとしているのかもしれません。その仕事は自分しかできない。というものを作ろうとしてしまう空気があると思うのです。

P111:うがった見方をすると、ほかの人にはできないようにしているのではないか、と思ってしまったこともあります。自己の存在価値をアピールしているのではないか、と。しかし。それでは生産性をあげるという意味から言えば困るのです。…(中略)…そして、属人的になっていたら、実は、カイゼンが進みません。

※7:Windowsマクロ(UWSC) 左記Webサイトより転載

あなたが行っている定型作業は 時間の無駄だとは思いませんか 退屈だとは感じませんか。

「機能」

・マウスとキーボード入力を記録して再生する事ができます。(スクリプト形式ですので自由に編集する事ができます)

・強力なスクリプト言語によりアプリの操作ができます。(COMオブジェクト、DLLの利用も可能です)

・スケジュール機能により指定時間や指定ウィンドウが現れた時などの指定ができます。

「動作環境」

Windows XP / Vista / 7 / 8.x / 10

Windowsマクロ(UWSC)は以前より所属部署の主に設計部門でシミュレーションの自動処理等で使用されていた。

※8:共通言語化等についての詳細は下記参照

  • “異端児エンジニア”が仕掛けた社内改革、執念の180日(14)(Web記事)

「部門ごとにファイル名が違う」はあり得ない! 必要なのは業務の“共通言語化”だ

  • 書籍F:P70-71より転載し、追記(・・・)

②データ定義・品質の壁

データを標準化し  ・・・様式、フォーマット等の統一

③データ連携の壁

(桁数、採番ルール)が異なっていて、データ連携ができないなど組織間の壁がある。

④会社・組織の壁

同一企業内において、組織をまたがってデータを収集しようとすると、~(中略)~ データの共有が困難となる。

⑤技術・スキルの壁

IoT化の目標の一つは、従来は高スキルの人間に依存している判断業務を、データの分析により代行することである。このために、属人化しているスキルを見える化し、システムに組み込む必要がある。

  • 書籍D:ノウハウの言語化 詳細はP154-157

※9:ナレッジマネジメントについて

  • 書籍H:P228-229より転載

 「組織のナレッジマネジメントには大きく①ストック型と②フロー型の2種類があります。①ストック型は組織としてのチェック済みの正しい情報、様式、フレームワーク等の『正答』そのものを時間とコストをかけて整理・格納するのに対して、②フロー型では現場の社員同士が『リアルタイム』に回答を寄せ合うのが特徴で、『正答』そのものではなく、『正答』を知っている人にたどり着くための情報(Know-who情報)が共有されるケースも散見されます。いままで企業では①ストック型のナレッジマネジメントの仕組みづくりを中心に取り組んできましたが、②フロー型の仕組みはまだ発展途上です。社員が困ったときにNextiのようなフラットでオープンな場で組織の壁を越えて気軽に質問したり回答したりすることができる仕組みや風土づくりは、企業の生産性を向上させる切り札の1つだと感じています」

※10:一意性とは:例えば、調達先との期間契約品で、ある手袋において同じ期間契約コードであってもサイズ等が異なれば、仕様欄や備考欄にサイズ等を付加して別のIDを割当てることで、下記の様にIDによりアイテムを特定できること。

ID1⇒品名コードXX、手袋、サイズL ID2⇒品名コードXX、手袋、サイズM

※11:業務の現状把握、実態把握の重要性 W・エドワーズ・デミング

定義できないものは、管理できない。管理できないものは、測定ができない。測定できないものは、改善できない

小生が勤務先において最近取り組んだ「デジタルからくり改善」に相当する一つの事例を示します。

コンビニ等のPOSを参考に、資材在庫管理用のかんばんに記載の5桁の「かんばんID」をバーコード化、資材に紐づく情報を整備・標準化、作業の標準化、バーコードリーダー、Excel(マクロ等含む)やWindowsマクロ(UWSC)等を活用し、基幹業務系の経費購入メニュー画面への自動入力等を行うことで、時間短縮と作業品質向上を実現し、担当者や上司等や関連部署の業務を改善し、生産性向上に寄与しました。

具体的には下記を実施し、チームパターン1Befor-Afterでの生産性向上を実現。

  1. 基幹業務系の経費購入メニューのシステムやプログラムに手を加えることなく、調達先との期間契約の有無に係わらず、品名・仕様・数量・調達先情報・予算消費情報・納期・納品先情報などの基本的情報がかんばんIDバーコードを読むだけで、約3秒で経費購入メニュー画面への自動入力が完了する仕組みを構築、上司の点検・承認前に行っていた予算管理部門でのダブルチェック等の点検作業を廃止して1年近く継続運用中。
  2. 発行手続き完了後に画面に表示される発行№についても従来は付箋紙に書き写してかんばんケース内にあるかんばんに貼付していたのものを、画面から発行№や品名・個数・単価情報などを自動取得してレシートプリンタでレシート(感熱紙)に印刷し、かんばんケースに入れるだけとしたことで、転記作業のムダの削除や転記間違いの防止、上司による点検・承認作業の軽減にも寄与。
  3. 他の上位等級者が担当していた業務についても、デジタルからくり改善を実施し、作業を簡易化し、時間短縮できた上記の経費購入手続きをしている下位等級者に業務移管

勤務先にはこの事例の動画、他の事例やITを活用した事例や動画もあり、見ていただきたいところではありますが、機密保持の関係でネット等で公には公開することが出来ず、申し訳ありません。

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